相続税対策と生命保険

 相続税対策として生命保険を勧められたことはありませんか?

 2つの意味で、生命保険は相続税対策に有効だということが言えます。

 1つは、相続税の納税資金です。財産の大半は土地で預金はあまりないという方もいます。そういうときに生命保険を掛けていれば、相続税を払うために土地を売ったり、借金したりということをしなくて済みます。相続税の全額でなくてもずいぶん助かりますね。

 2つ目は、節税効果です。遺族が死亡保険金を受け取ったとき、相続人1人につき500万円の非課税枠があります。3人の相続人というときは1,500万円が非課税、それを越えた部分が課税対象ということになります。この場合で、相続人の内の1人だけが保険金を受け取ったときも非課税枠1,500万円は変わりありません。

 何事にもメリットとデメリットがあります。生命保険のメリットは以上のとおりですが、デメリットは?

 保険料を長期間払い続けなければならないということは誰でもわかりますね。ところが、わかっているはずのことを考えないで契約してしまう人もいます。現在は収入があって保険料を支払うことができても将来収入が途絶えたときはどうしたら良いのでしょうか。こういうことも考えてから契約しましょうね。生命保険というものは中途解約すると損をするものが多いものです。(注)

 預金などで相続税の支払ができる人は、生命保険は非課税枠程度の保険に加入すれば良いでしょう。納税資金を目的とするときも保険料を支払い続けることができるかを慎重に考えましょうね。私どもの事務所でも生命保険の代理店をしていますが、保険加入を希望する人に「もっと少ない契約でいいですよ」と言うと、「商売っ気がありませんね」と言われます。でも、長いお付き合いになりますから将来の保険料支払が不安な方や不必要に高額の保険は勧められません。商売っ気がないと自分でも思います。

(注) 生命保険の中には長期平準型定期保険のように解約を前提とした保険もあります。こういう保険は中途解約が損とは言い切れません。