会社設立・法人税

会社と個人事業はどう違うの?

 脱サラして事業を始めようと言う人が最初に悩むのが会社組織にしようか個人企業でやろうかというところでしょう。
 税金の面で言うと、会社組織の場合は会社そのものに「法人税」という税金がかかり社長は税金面ではサラリーマンと同じ給料から所得税が源泉徴収されます。
 個人企業の場合は事業の利益(所得)に対して所得税がかかります。

 どちらが得かと聞かれますが一概にどちらと決められません。規模によっても違うし・・・。ただ、数人が共同で事業を興そうというときには最初から会社組織にすることをお勧めします。

会社にはどんなものがあるの?

 会社には合名会社、合資会社、株式会社などがあります。新規に設立する会社は株式会社が大半でしょう。

 詳しいことはこちらでごらんください。

 平成17年6月の商法改正によって、旧商法に規定されていた会社に関する部分は「会社法」という独立した法律ができました。会社法は平成18年5月に施行されて会社に関する法律は大幅に変わりました。具体的には、会社は合同会社、合名会社、合資会社、株式会社の4種類とされ、有限会社は新たに設立することはできなくなりました。従来の有限会社は、名称は「有限会社」そのままですが、株式会社の規定が適用されます。

会社の資本金はいくらにしたらいいの?

 現在の会社法では資本金の下限を設けていません。理論上は資本金0円でも会社の設立は可能です。
 しかし、会社の設立登記、当面の運転資金などに資金は必要です。少なくとも会社を立ち上げた後2ヶ月程度の運転資金は資本金として必要でしょう。

 次に、税制の面から資本金をいくらにしたらよいかを説明します。
 資本金は1千万円、1億円の各金額で税法上の扱いが異ります。
 まず、交際費課税について、資本金1億円以下の会社は年間4百万円を超えた部分の交際費が全額損金不算入(税法上経費と認められない)です。もっともこれらの範囲内でも交際費の10%は損金不算入ですが・・・・。

 次に法人税率について、資本金1億円以下の会社は年間8百万円以下の所得(利益)には22%、8百万円を超える所得には30%の税率が適用されます。資本金1億円を超える会社は一律30%の税率です。

 消費税についても資本金が関係します。消費税は前々年度の課税される売上高が1千万円以下の会社は免税事業者となります。したがって事業を開始してから2年間は前々年度の課税される売上高がありませんので免税事業者となるわけですが、資本金1千万円以上の会社は前々年度の実績がなくても課税事業者となります。

 そのほかにも法人住民税の均等割り税額などで資本金1千万円以下、5千万円以下、1億円以下、1億円超の各金額で異なる部分があります。

 未満、以下、以上、超えるの表現の違いに注意して下さいね。

会社はどうやってつくるの?

 会社を作る(設立)には、資本金の準備、会社の名称(名前)、目的(事業の種類など)、会計期間(決算期)、取締役、監査役などを定めることから始まります。取締役は会社と同じ業種の事業を個人で経営している人は避けましょう。自分で設立手続きをすることもできますが、一般には司法書士に依頼します。

決算期はどのように決めたらいいの?

 決算期は棚卸やその他の事務で忙しくなります。また、決算期末から2ヶ月以内に法人税等の納税時期がやってきます。したがって、日常の業務があまり繁忙な時期でなく、納税時期がボーナス時期と重ならない(脱サラ諸氏はボーナスを支払う側になる)時期がいいでしょう。これもケースバイケースです。

法人税はいつ誰が納めるの?

 法人税は「法人」の所得に対してかかる税金です。
 法人とは、会社や組合のほか医療法人や学校法人などがあり、法律上経済行為ができるのは「人」と定められ、会社や組合などに法律上人格を与え人と同様に経済行為ができることになっているわけです。
 法人は事業年度(会計期間)をそれぞれの法人ごとに定め、原則として事業年度末の翌日から2ヶ月以内に法人税の申告、納付をすることになっています。

同族会社の税金は高くなるの?

 会社の株式の多数をある特定の株主やその親族が所有している会社を「同族会社」といいます。
 同族会社は特定の株主の意向が経営に反映されやすく、内部のチェック機能が働きにくいといわれます。そこで法人税法では、同族会社について特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入や同族会社の行為計算の否認などの規定を設けています。

 (1)特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入 社長一族で90%以上を占める持ち株割合の場合に社長の給与の一部を損金としないという規定です。詳しくはこちらをどうぞ。

 (2)同族会社の行為計算の否認 同族会社と株主個人との取引などで通常行われる取引と異なる場合、例えば社宅という名目で家賃も相場より極端に低い家賃で社長一家が住んでいるような場合に、税務署が通常の取引に引き直して課税するといったことがあります。

減価償却の方法は?

 建物や機械などの固定資産は購入してから数年数十年と長期間にわたって使用されます。そこで固定資産の購入価額を一時に費用としないで、使用可能な期間に割り振って費用とする手続きが減価償却です。
 減価償却の方法には定率法や定額法などがあります。その他の特殊な償却方法はここでは説明を省略します。現在、建物については定額法のみを認めていますが、他の機械、車両、備品などは会社が届け出た方法で計算することになっています。
 定率法と定額法の計算方法は次のとおりです。
  定率法 前年度末の未償却残高×定率法の償却率=償却額
  定額法 取得価額×定額法の償却率=償却額

定率法と定額法はどっちが得?

 これもよくある質問です。次のケースで比較してみます。
車両購入100万円、残存価額10万円、耐用年数5年、償却率 定率法0.369、定額法0.200
(以下の計算は旧定率法と旧定額法で計算しています。現行の定率法と定額法でも同様の傾向です。)
 定率法の計算方法
  1年目 1,000,000×0.369        =369,000
  2年目 (1,000,000-369,000)×0.369=232,839
  3年目 (1,000,000-601,839)×0.369=146,921 
  4年目 (1,000,000-748,760)×0.369= 92,707
  5年目 (1,000,000-841,467)×0.369= 58,498
  合 計                  899,965
 定額法の計算方法
  1年目 (1,000,000-100,000)×0.200=180,000
  2年目 (1,000,000-100,000)×0.200=180,000
  3年目 (1,000,000-100,000)×0.200=180,000
  4年目 (1,000,000-100,000)×0.200=180,000
  5年目 (1,000,000-100,000)×0.200=180,000
   合 計                  900,000
 以上の通り、耐用期間を通算すれば同じ(端数で違うが)になります。定率法は償却額が最初大きく徐々に減少しますが、定額法は毎年度同じです。資金繰りの面では、設備資金を返済しているとき苦しく、返済が終了すれば楽になる傾向にあります。返済金については資金の流出はあるが費用とならない(費用となるのは利息だけ)ので資金状況に比較して利益が多く計上され税金や配当の支払に無理が生じる。だから経営者は返済期間の費用をできるだけ多くしたいと考えるわけです。
 損か得かとは次元が違うけど、私は以上の理由から定率法をお勧めしています。

※ 上記の計算例は平成19年3月以前に取得した固定資産の償却方法によっています。

赤字の時の法人税は?

 会社の決算が赤字となったときは法人税がかかりません。なお、その赤字は翌年度以降7年間は以後の黒字から差し引かれます。なお、決算上は赤字でも例えば交際費の損金不算入などがあって法人税の計算上は黒字になる場合がありますが、そのようなときは法人税が課税されます。

※損金 法人税法では費用や損失のことを「損金」という。また収益や利益のことを「益金」といっている。
※損金不算入 法人税の所得計算上、損金とされないものをいう。

交際費課税ってなに?

交際費課税は冗費抑制の目的でスタートしました。徐々に強化され、現在では冗費とはいえない部分も交際費課税の対象となりました。
 交際費は会社の規模に応じて次の金額が損金不算入とされています。
 ①資本金の1億円を超える法人・・・・・ 交際費の全額
 ②資本金1億円以下の法人・・・次の合計額
   年間400万円までの金額の10%
   年間400万円を超える金額の100%

 このような説明をすると順序が逆じゃありませんかといわれるが、この通りです。規模の大きな法人ほど損金とされる部分が小さいのです。小企業の方がやむなくお付き合いの費用を支出するだろう、という配慮でしょう。

交際費になるものは?

 税法上の交際費ということになると上記のように損金不算入扱いの部分があるので、何とか交際費以外のものにならないかと知恵を絞りますが現実には難しいものです。

 交際費とは「交際費、接待費、機密費、その他の費用で、法人が得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」と定義しています。

 「その他事業に関係ある者等」とは従業員を含む法人に関係のある者はすべてと考えるものである。従業員の慰安目的であっても「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のため通常要する費用」以外のものは交際費課税の対象となります。ここでのポイントは「専ら従業員の・・・」と「通常要する費用」です。慰安旅行であっても従業員だけでなく得意先なども含まれた旅行やあまりに豪勢な旅行も交際費課税の対象となるわけです。

 そのほか、実務上問題になるものに会議費か交際費かの区別があります。「会議に際して社内または通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を越えない飲食物等の接待に要する費用」は交際費としないという扱いです。場所が料亭の場合には「通常会議を行う場所」ではないとして飲食等の費用は交際費になるであろうし、ホテルの会議室を使った場合でも「昼食の程度を越えない飲食物等」の範囲を超えた宴会といえるような場合にもやはり飲食代が交際費となることは避けられないでしょう。

 以上、概略ですが交際費の考え方を理解していただけたでしょうか。
 詳しくはこちらをご覧下さい。

会社の役員はボーナスが出ないって聞いたけど本当ですか?

 会社の役員(取締役と監査役)にボーナス(賞与)を出してはいけないという規定はありません。賞与を支払うことはできます。
 法人税法では役員賞与は損金不算入(法人税の計算上、費用として処理することができない)とされていますので、会社として法人税の課税対象とされ、さらに役員個人の所得税の計算では給与所得に含まれ、いわば二重課税となるため、特に同族会社では役員賞与は支払わない会社が多いと思います。
 平成18年に事前確定届出給与という制度ができました。厳しい条件が付いていますが、役員賞与も損金算入ができます、
 詳しくはこちらでどうぞ。