公正証書遺言の話

 公正証書遺言、相続対策の決定版のように言われていますね。 

 相続争いを防ぐためには最良の方法です。税金対策の前に兄弟間の争いの芽を摘んでおくためには、なんと言っても遺言書を残しておくことです。遺言書の中でも公正証書遺言の場合には、即座に名義変更の手続きを開始することができるので、トラブルなしで遺産相続ができます。

 それなのに、せっかく、公正証書遺言を作っておきながら、兄弟間の争いを防ぐことができなかったという話です。

 遺言書で遺産の分け方を指定します。どの財産を誰にと具体的に指定する方法があります。そのほかに、遺産の何分の1は誰にと相続割合を指定する方法もあります。兄弟間の争いを防ぐことができなかったという話とは、後者のケースです。土地でも、宅地化することができない畑は遠方に住んでいる人にとって価値のないものと考えることもあるでしょう。相続税の評価は同じでも、その人にとっての価値は違います。当然のことながら、誰でも自分にとって価値の高いものがほしい。どの財産を取るかで争いになったというわけです。せっかく遺言書を作るのですから相続人の間で遺産を分けるための話し合いをしなくてもいいようなかたちにしましょう。

 特に土地、建物、株式は個別に定めるべきです。遺言書の書き方にも注意しましょう。このあたりに気をつければ、やはり遺言は相続対策の決定版です。遺言書の書き方で不安があったらご相談ください。提携弁護士、司法書士とともにお引き受けします。

 私は、勤務時代も含めて100件を越す相続税事案にたずさわってきました。その中で、全く争いがなかったというのはおよそ2割ぐらいです。多かれ少なかれ8割はトラブルがあったというわけです。

 だから、何度でも言います。遺言書を作っておきましょう。自分の子どもたちだけは大丈夫、仲良くやっていくはずだ、と思うのは幻想です。