消費税・その他

消費税は誰がいつ納めるの?

 消費税はお客さんから受け取った事業者が納めます。納税の時期は会社の場合には決算日から2ヶ月以内、個人企業であれば12月までの分を翌年3月末日までとなっています。その他金額によっては予定納税を年1回、年3回または毎月納めることになります。

納める消費税はどのように計算するの?

 消費税は原則として次のように納める金額を計算します。
  受け取った消費税-支払った消費税=納める消費税
 支払った消費税とは仕入れや経費を支払う際に仕入先などに払った消費税のことです。また、建物を建築したり機械や自動車を購入するときも消費税を付けて払いますが、これらも支払った消費税に含めます。
 企業が物を仕入れてこれに価値を付けて販売するとき価値が付いた分を「付加価値」といいますが、消費税は付加価値税の一種ということができます。

 このように、事業者は消費税をお客さんから預って仕入などの際に支払った消費税を集計して納税額を計算します。その際の事務費用は膨大に掛かりますがすべて事業者の負担です。国は消費税の徴収、納税額の計算を事業者にタダで委託しているということになります。これっておかしいと思うのは私だけでしょうか。

免税事業者は得か?

 消費税は、前々年度の売上高(非課税となるものを除く)が1,000万円以下の場合には免税事業者となります。もちろん免税事業者は消費税を納める必要がありませんから、お客さんから受け取った消費税の一部が懐に入るわけです。ところが場合によっては免税事業者の方が不利になるため、あえて課税事業者になる人(会社)があります。

 前に述べたように受け取った消費税と支払った消費税の差額が納める消費税となりますが、支払った消費税の方が多い場合には、その差額は還付されます。あえて課税事業者になるのはこのケースです。免税事業者のままだと還付されることはありませんので「課税事業者選択届出書」を税務署に出しておきます。これに当てはまるケースとしては、貸店舗や貸事務所を建てる場合など大きな設備投資がある場合などがあります。

 ここで注意しなければいけないことが次の2点です。
①「課税事業者選択届出書」は前年度末まで(新規に事業を開始した場合は事業開始から2ヶ月以内)に税務署に提出すること。
②課税事業者を選択したときは2年間は取りやめができないこと。
 すなわち課税事業者になった方がよいかどうかは2年間のトータルで判断しなければいけません。

簡易課税ってなに?

 簡易課税は、支払った消費税を実際の金額で計算しないで、業種別に定められた仕入率によって計算する方法で、前々年度の課税売上高が2億円以下の企業が選択できます。業種ごとの仕入率は次の5つに区分されています。
  ①第1種事業 卸売業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90%
  ②第2種事業 小売業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80%
  ③第3種事業 製造業や建設業など・・・・・・・・・・70%
  ④第4種事業 飲食店や金融業など・・・・・・・・・・60%
  ⑤第5種事業 サービス業や不動産業など・・・・50%

 この場合で、2業種以上ある時は事業ごと区分して計算します。例えば魚屋さんの場合、売上先が企業のときは卸売業(第1種)、消費者のときは小売業(第2種)、魚をフライや天ぷらにして販売するのは製造業(第3種)と区分する必要があります。売上を業種ごとに区分しなければ売上の全部を一番低い仕入率で計算しなければいけません。実務上、この区分が大変手間が掛かり、判断の難しいところもあり私ども税理士の間では「簡易課税」とは言わないで「難解課税」と呼んでいるほどです。

税務調査ってどんなもの?

 税務調査にはいわゆる強制調査(査察、映画マルサの女で有名になったもの)と任意調査があります。強制調査は裁判所発行の令状を持って会社内外を捜索するもので有無を言わせません。税務署の職員が行う調査は「任意調査」で関係者の了解の下に行います。任意とはいってもかなりの権限を持って取引銀行や取引先企業にも立ち入り、取引状況を調べて調査対象の会社の帳簿と照らし合わせて適正に申告しているかどうかを調査します。何もやましいことはないと思いながらも怖い存在です。

税務調査の心構えは?

 調査の際、事前に日時を打ち合わせる場合と事前連絡なくある日突然調査に入る場合とがあります。突然の調査に備えて日頃から管理しましょう。特に現金の管理は企業として基本になりますから金庫やレジの現金残高と現金出納帳の残高と照合しておきましょう。銀行勘定は後でまとめて記入することもできますが、現金管理は「後でまとめて」は間違いのもとです。また、不正な処理は丹念に調査すれば必ず見つかるものです。見つからなかったとしたら「運が良かった」にすぎません。運頼りでは企業として心許ないですね。税法で許される範囲で節税することは堂々と行って下さい。
 でも、調査の際どのように説明しても疑ってかかる税務署員もいることは事実です。税務署の調査官は仕事柄、疑う習性が身についているとはいえ寂しい気持ちになります。