重要な相続税対策のひとつに納税資金の準備があります。
相続が発生すると、10ヶ月以内に相続税の申告、納税をしなければいけません。相続税を納められるだけの預金や上場株式があればいいのですが、相続財産の大半は土地という場合には、納税が問題になります。こんな場合には、土地を売却して納税資金を作るとか、土地そのもので納税するという方法(物納)もあります。
問題になるのは、保有する土地に次々とアパートなどを建設して更地(建物の建っていない土地、空地のこと)が残っていない場合です。中古アパートの1棟売りの相場は土地値(更地価額)を下回ることも多いので、アパートを売却して納税資金を作ることは選択肢に入れない方が良いでしょう。
延納という方法もありますが、相続税額が億単位になると20年分割しても、ローンの残っているアパートの家賃やサラリーマンの給料から支払可能な規模ではなくなるので、これも選択肢となりにくいものです。納税資金対策の重要性が御理解いただけると思います。
土地の有効利用、相続税対策と言って、アパート建設を建設会社の営業マンがさかんに勧めますが、行き過ぎた相続税対策にはこんなリスクもあります。納税資金を作るためにアパートを格安で手放すことになって、更地のまま残せば良かったと後悔することもあります。何のための相続税対策かわかりませんね。
納税がスムーズにできるように考えるのも、財産を残す人の義務です。預金などで納税資金が十分あれば問題ありませんが、そうでない人は、せめて、相続税を支払うことができるだけの売却可能な土地を残しましょう。