ネットで商売
インターネットを介在した商売が盛んですね。
最近は私も、ほしい本がわかっているときはネットで注文します。1,500円以上買えば送料無料の上、在庫さえあれば注文した翌日に配達されるという便利さです。
そんな中で、インターネットを利用して商売にならないかと考えた人がいます。私のお客さんで、繊維の卸売りをやっていた人です。時々マラソン大会で使う大量のゼッケンの注文を受けていました。大量といっても年売上4~5百万円。とても本業にできる規模ではありません。
その経営者は考えました。一般の人はゼッケンなんてどこで注文したらいいのか分からなくて困っているのではないか。扱っている店は自分は知っているけど、消費者は知らないんじゃないか。だったら、直接消費者にお知らせする方法があれば仕事になるのではないかと思い至ったのでした。
ゼッケンを販売する場合、従来の製造業者→卸売店→小売店→消費者という流通形態では流通経費と時間が掛かりすぎる上、市場が小さいので地方都市の商圏では商売にならない。ところが、インターネットを利用すれば日本全国が商圏になる。そこで、少量生産方法や短期間で製作可能な方法を考え(企業秘密もあるので詳しく書くことはできないが)草野球チームの注文から、大規模なイベントまで受注を可能にしたのです。
この客さんは、繊維の卸売りではなくゼッケンの製造販売が本業になりました。
この話は、これから創業しようという人にとってヒントになるでしょう。
大きな市場であれば既に大手資本が進出していて小資本の企業では太刀打ちできない。市場の小さい分野こそがネット商売に向いているのではないでしょうか。
インタ-ネット関連事業は儲かる!と安易に考えるのは間違いですが、インターネットを利用することで商圏が日本全国さらには地球レベルへと広がるので、従来の仕組みでは成り立ちにくかった隙間産業が十分経営可能となったわけです。おまけに、こういった隙間の商売は限られた市場だから大企業が乗り出す可能性が少ないので小規模企業の参入する余地があるところです。マニアックな商品、特殊な商品がインターネットの世界では商売になるのです。
社員にどこまでまかせるの?
創業される方は仕事には自信を持っている方が多いですね。
新規採用した社員にも自分と同じレベルの仕事を要求をされることも多いと思います。社員の誰もが高い意識を持ってくれれば質の高い仕事ができるのが理想です。だからといって最初から要求するのは無理というものです。
「社員を育てる」という意識を持って臨んでいただければ、きっと数年後には質の高い社員になるでしょう。
創業社長にありがちな点がもうひとつ。 社員に任せる仕事の範囲を明確にしないで、仕事は要求することです。
私どもは、主に経理面を拝見していますが、事務員さんに現金出納帳や預金出納帳の管理を任せると言いながら、肝心の現金や預金通帳の管理は任せないという方をお見受けします。領収書を渡して、「これで現金出納帳の記入をしといてね。」というように。記入はできるけど、現金残高との照合ができないので何かが抜けていたり、間違った記入をしても誤りを発見できないんですね。
現金や預金の管理を社員に任せることに不安を持っているためかと思いますが、定期的にチェックする体制を整えていれば使い込みなどはやるものではありません。ノーチェックですと魔がさしてしまうこともあります。社員の不祥事は会社の管理体制に問題があることがほとんどだと思います。最初から多くの範囲を任せるわけではないでしょう。人間性を観察しながら徐々に範囲を広げていけばいいことだと思います。
どこまで任せるか、すなわち委譲する権限の範囲をを明確にしないと優秀な社員でも質の高い仕事ができません。これは、経営者の責任ですね。
社長さん、あなたもサラリーマン時代は権限を与えられた範囲では、自分で判断し決定してきたことでしょう。社員をもっと信頼して仕事を任せましょう。自分ひとりでできる仕事には限界があります。
パソコン会計のススメ
仕事を始めようというとき、パソコンは必需品ですね。取引先との間もE-mailでやり取りするし、納品書や請求書も手軽に販売管理ソフトで発行できますね。その他にも社内文書はワープロ、表計算を駆使する人が多くなっています。
会社の経営成績は会計帳簿によって把握します。会計帳簿で作られるものは過去のデータであって、そんなものよりこれからのことが大切だと言う経営者がいます。確かに会計帳簿では過去のデータを作りますが、過去のデータに基づいて将来の予測をするのではないでしょうか。計画は現状把握から始まり、そこから種々の要素を取り入れていくつかのパターンのシミュレーションをします。経営計画に当たっては正確な現状把握が大切だということは言うまでもないことです。
会計帳簿は会計事務所に任せておけばいいと言う人もいます。それはそれで結構ですが、会計事務所任せでは現状把握が遅れるという側面があります。リアルタイムで売上等の把握ができる点では、やはり自社でデータ入力する方が優れていますし、経営成績を把握する習慣と能力が経営者自身の身につきます。
20年前は会計ソフトも高額でしたが、今は手軽に導入できるところまで来ました。あとは操作する人の能力です。パソコンに会計ソフトをインストールすれば、今日から会計帳簿ができるわけでもありません。経理の仕組みが分かっていないと正確な会計帳簿からかけ離れた帳簿らしきものが出来るに過ぎません。
ワープロだって文章能力の低い人が作った文書は使いのもになりませんね。会計ソフトも同じです。創業を考えている方は、簿記の勉強もしましょうね。
数字に明るくなろう
会計は義務であり、よけいな仕事と考えている経営者が多いようです。しかし、数字が頭に入っていない経営者は会社をつぶしてしまうことさえあります。高度経済成長期は現場の仕事さえやっていれば、経営は何とかなった時代です。しかし、昨今の低成長時代には、それでは通用しません。せっかく、事務員さんも雇ったり、会計事務所に依頼して経理の仕事をしているのに、それを経営に生かさないというのは何とももったいない話です。
過去のデータに基づいて、資金繰り計画、経営計画を立てます。その場合、過去のデータが正確なものでなければ計画は絵に描いた餅になってしまうでしょう。税務署や銀行に提出するためだけに決算書を作るわけではありませんが、そこを勘違いしていると思われる経営者がいることも事実です。
積極的に会計を武器にしていきましょう。数字に明るくなり、正しい数字を基に経営計画を立てることが企業の成長に最も役立つ方法だと確信しています。
会計事務所は、それをサポートするのが仕事です。そういう意味で私どもを利用していただくと仕事のやりがいがあるというものです。
運営資金が足りないときは-経営計画書を作ろう
会社を立ち上げるときに払い込まれた資本金は、その後の会社の運営資金として使います。ところが、開業に必要な資金を準備できないことがあります。大部分はこんなケースだろうと思います。
こんな場合にどのように会社を運営していくのでしょうか。方法は二通りですね。一つは、準備できる資金の範囲でお金を切り詰めて事業を行う。いわば、身の丈にあった経営と言ったらよいでしょうか。もう一つは、不足する資金を借り入れして事業を行う。銀行や信用金庫は信用力がないので開業資金の融資を受けるのは困難です。そうすると、親兄弟から借り入れるということになりますが、もう一つ意外に融資を受けやすいのが国民生活金融公庫の新規開業資金です。
何分にも、新規開業で実績も信用もないわけですから、明確で具体的な経営計画とその説明を求められます。勘と度胸で商売していこうという人には高いハードルと言えます。経営計画書をまとめることによって、漠然と考えていたことが明確化されて問題点が浮かび上がるといった効果があります。
また、ベンチャー企業は資本を銀行に頼らず、個人投資家の資金をを受け入れようというのが主流となりつつあります。投資対象されるためには明確でわかりやすい経営計画書とプレゼンテーション能力が問われます。ここでも勘と度胸の経営者は土俵の外に追いやられます。
新規開業のときだけでなく、実績のある会社でも経営計画書を作ることは大変効果的です。ある程度の周期で短期、中長期の経営計画書を作成し会社内外の人々に示すことによって、会社の方向性が明確になり社員の意識も高まるうえに、銀行など金融機関の評価も高くなります。
天野会計事務所では経営計画書作成のお手伝いもしています。