「相続税対策のためアパートを建てた話」の続編です。
アパートを建たとき相続税が安くなる要因は、上記でも触れたように次の3つの要素から成り立っています。
1、土地の評価が若干低くなること
2、建物の評価が建築価額と比べて低いこと
3、なのに借入金は額面金額そのもので相続財産から差し引くことができること(債務控除)
特に影響の大きいのが、3の借入金による債務控除です。
相続税対策のために賃貸マンションを建設したけど、長生きしてローンを完済してしまったときはどうなるのでしょう。(もちろん、長生きはめでたいことですが・・・。) この場合には、相続税対策としての効果は1と2だけになりますね。2の建物の時価(取引価額)は、20年以上も経過すると無価値、場合によっては取り壊しにかかる費用だけマイナス評価となるのが現状です。一方で、相続税評価額は建物がある限りいつまでたっても「ゼロ」になることはありません。相続税対策どころか逆効果となっていることが多いでしょう。
アパート経営がうまくいっている場合には多額の預金が残っているかもしれません。(もちろん、これも結構なことです。) だけど、その預金も相続財産です。結果として、相続税がより多くなってしまうことがあります。相続税対策のためには、アパートを建設したら借金がたくさん残っている間に早いところ死んだ方がいいということになります。だれもそんなことを望んでアパートを建てるわけではないでしょう。
また、長い年月を経た賃貸マンションがスラム化して、質の悪い住人(失礼)だけが居残っているということも世間にはよくあることです。こういう建物は相続人にとって厄介物でしかありません。私だったらそんな建物を相続することは辞退したいですね。
そうならないためには計画的、定期的なメンテナンスが必要です。古くなりますと、20室程度の賃貸マンションでも壁面の塗装にン百万円、屋上の防水工事にン百万円、上下水道の補修工事にン百万円、室内の改修工事にン百万円、地デジ対応の設備にン十万円、入居者が入れ替わるつど壁や床の補修にン十万円と毎年のようにお金がかかります。そうしますと多額の預金が残るというのも幻想でしかないかもしれません。
子孫のためにアパートを残してやろうと考えているあなた。かえって子孫から恨まれるかもしれませんよ。