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法人とは | |
法人とは会社、組合のほか財団法人や社団法人などの○○法人といわれる法人をいいます。法人税法では、これらのほか法律上は法人ではない同窓会など法人格を持たない団体でも、収益事業を行う場合には法人とみなす場合があります。 法人税は、これらの法人の所得(利益)に対して課される税金です。 |
課税標準 | |
法人税の課税標準(法人税の課税対象)は、所得金額です。所得金額とは損益計算書の当期利益と大部分は同じ概念ですが、一部異なります。所得金額と当期利益は次の算式で計算した金額です。 所得金額=益金の額−損金の額 当期利益=収益−費用及び損失 |
決算確定主義 | |
商法では、すべての会社について少なくとも年一回の決算を行い、貸借対照表、損益計算書などの計算書類の作成すべきと定めています。法人税法は商法の規定を受けて、確定した決算に基づいて、原則として事業年度末から2ヶ月以内に法人税申告書の提出を義務づけています。 |
益金の額 | |
益金は会計上の収益とほぼ同じですが、法人の考え方や政策的な観点からいくつかの点で異なる部分があります。 収益であるが益金でないものの例 受取配当金 資産の評価益 法人税、住民税の還付金etc 収益ではないが益金であるもの 資産の無償譲渡etc |
損金の額 | |
益金と同様"損金"も会計上の費用や損失とほぼ同じです。 費用であるが損金でないものの例 交際費等の損金算入限度超過額 役員賞与 過大役員報酬 各種引当金の損金算入限度超過額 減価償却費の損金算入限度超過額 etc. 法人税の勉強の大きな部分を占めるのか、上記の事柄です。 |
申告調整と決算調整 | |
法人税の課税所得は、会計上の利益すなわち損益計算書の当期利益をもとに損金不算入項目及び益金算入項目を加算し、益金不算入項目及び損金算入項目を減算して所得金額を算出します。これを申告調整といいます。 これに対し、決算の段階で費用または収益に計上することを決算調整といいます。たとえば減価償却費は決算上費用として計上した金額の内、税法上の損金算入限度額の範囲が法人税法上の損金とされるわけです。 |
申告調整 | |
決算書に計上しなくても申告書上で加算減算できるものが「申告調整項目」です。これには法人の意志に関わりなく必ず調整しなければならない事項(必須申告調整項目)と法人の意志により調整するもの(任意申告調整項目)とがあります。 必須申告調整項目 (1) 法人税、住民税の損金不算入 (2) 法人税還付金などの益金不算入 (3) 減価償却費の限度超過額の損金不算入 (4) 引当金準備金の限度超過額の損金不算入 (5) 役員賞与の損金不算入 (6) 過大役員報酬の損金不算入 (7) 交際費、寄付金の損金不算入 etc. 任意申告調整項目 (1) 受取配当金の益金不算入 (2) 控除所得税の損金不算入 (3) 特別償却不足額の翌期繰越 etc. |
決算調整項目 | |
決算の段階で費用または収益に計上することを決算調整といいます。法人税法では決算上、費用として計上すること(損金経理)を条件として損金を認めているものがあります。裏を返せば法人が決算書上で費用としなければ法人税の計算でも損金とされないことになります。 決算調整項目には次の事項があります。 (1) 減価償却費、特別償却 (2) 各種の引当金、準備金 (3) 資産の評価損 (4) 役員報酬、役員退職金 etc. |
同族会社 | |
株式会社や有限会社などの発行済株式総数または出資金額の50%以上を、大株主3グループで占める会社を"同族会社"といいます。グループというのは、親族などで株式を所有している場合には、それら全体を1グループの持株として判断します。 同族会社の場合には、大株主の個人的な判断で会社の経営を左右できることから、法人税法上次のような特別な規定を設けています。 (1) 同族会社の留保金課税 (2) 同族会社等の行為計算の否認 |
同族会社の留保金課税 | |
会社から配当を受ける個人は所得税が課税されるが、配当金に対する課税をさけるため、同族会社では利益を配当に回さず会社に留保する傾向があるといわれます。これでは配当を受ける場合と課税の公平が保たれないため、通常の法人税の他、特別な税が課されます。これを留保金課税といいます。対象となるのは特定の同属会社だけであって、協同組合や社団法人などの○○法人には適用されません。 税引後の所得金額が一定額以上(課税留保金額)のとき所得の10%から20%の範囲の税率で課税されます。 |
青色申告 | |
青色申告というと、個人事業者の青色申告を思い浮かべる人が多いのですが、法人にも青色、白色と申告の種類があります。 法人が、一定の帳簿書類を備え付け、税務署に青色申告の承認申請をして、その承認を受けた場合は、青色申告書を提出することができます。 青色申告の特典 (1) 欠損金の翌期以降7年間の繰越し (2) 特別償却または割増償却 (3) 準備金等の損金算入 (4) 技術等海外取引に係る所得の特別控除 etc. 法人は会社法などで元々帳簿の備え付けが義務づけられていますから、大半の法人が青色申告を行っています。 |
法人税率 | |
法人税は、原則として所得(利益)に対して税率を掛けて計算します。 (1) 一般の法人税率 会社の規模などにより次の税率により計算します。 資本金1億円を超える普通法人等 30% 資本金1億円以下の普通法人等 年8百万円以下の所得 30% 年8百万円を超えるの所得 22% 協同組合、公益法人等 22% (2) 同族会社の留保金に対する税率 同族会社の課税留保金については、次の税率で計算します。 年3千万円以下の金額 10% 年3千万円を超える金額 15% 年1億円を超える金額 20% なお、上記のほかにも特殊なケースがありますが、ここでは省略します。 |
税額控除 | |
法人税は法人の所得に税率を掛けて計算します。その次の段階で、以下の「税額控除」を差し引いて納める法人税額を計算します。 (1)所得税額控除 金融機関から預金の利息が支払われる際、20%(国税15%、地方税5%)の源泉所得税が差し引かれます。会社などが受け取る場合でもこれは同じです。そのほか株式の配当金を受け取る際にも源泉所得税が差し引かれます。これらは法人税の前払いという性格だから、法人税額から差し引くことになります。 (2)外国税額控除 海外に営業所を設置している会社も多いでしょうが、外国においての法人税に相当する税金を納めているときは、その税額を差し引きます。 (3)電子機器利用設備を取得した場合の税額控除 資本金3千万円以下の法人(青色申告法人に限られる)が、特定電子機器利用設備を取得した場合には、取得価額の7%の税額控除ができます。 この規定は、政策的に設けられた制度で、特別償却といずれかを選択して適用します。 (4)その他の税額控除には次のものがあります。 試験研究費が増額した場合の特別控除 エネルギー需要構造改革推進設備等を取得した場合の特別控除 事業基盤強化設備等を取得した場合の特別控除 事業家設備等を取得した場合の特別控除 自由貿易地域等における特別控除 製品輸入額が増加した場合の特別控除 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別控除 |
確定申告 | |
法人の決算期末から2ヶ月以内に法人税の申告書を提出して、税金を納めます。これを確定申告といいます。 会計監査人の監査を受けることが義務づけられている会社など、2ヶ月以内に申告書を提出できない事情がある法人は、あらかじめ税務署に申請することによって申告書の提出期限を1ヶ月延長することができます。 確定申告書は「別表」と呼ばれ、別表1から別表16までさらに別表16の1、16の2というように種類の多いものです。ごく小規模の会社でも10枚以上の別表から成り立っています。 さらに添付書類として、貸借対照表、損益計算書といった財務諸表、勘定科目内訳明細書などがあり、ちょっとした書籍ほどの厚さになります。 |
中間申告 | |
1年決算の会社が年度の中間で申告するのが、中間申告です。 中間申告には、次の2種類があります。 (1)前年度の実績に基づく申告(予定申告) 前年度の税額を月数按分して納める法人税額を計算します。 (2)仮決算に基づく申告 確定申告と同様の申告書、財務諸表、勘定科目内訳書を提出します。 前年度実績に基づく方法は、簡単で手数もかかりません。もう一方の仮決算に基づく申告は確定申告と同じだけの手数がかかりますが、前年度に比べ当年度の収益状況が落ち込んでいる場合には、資金繰りなどを考慮して面倒でも仮決算をして申告することが多いでしょう。 |
修正申告 | |
申告書を提出した後で、納めた税額が少なすぎた場合には、修正申告をします。一般には、税務署の調査があって、申告洩れがあった場合に提出するものです。税務署から申告洩れが指摘されたとき、修正申告書を提出するか、税務署が更正をするかのどちらかです。修正申告書は法人が自主的に行う行為で、更正は税務署の行う処分です。また、納めた税額が多すぎて戻してほしいときは、修正申告ではなく、更正の請求をすることになります。 税金に関する裁判が各地で行われていますが、修正申告書を提出したときは、不服申し立てや裁判所に提訴することはできません。あくまでも闘うつもりであれば、修正申告書を提出してはいけません。 修正申告によって税額が増加するときは、本来の法人税のほか過少申告加算税、重加算税、延滞税がかかります。過少申告加算税と重加算税は正しい申告をしなかった罰則的な税で、延滞税は本来の納期限から遅れて納めた利息に当たる税です。 この内過少申告加算税は、うっかりしたミスなど悪意のない場合の税で、重加算税は、事実を隠蔽しまたは仮装した場合、言い換えれば悪意を持って税金をごまかしたときにかかる税です。 加算税、延滞税の率は次のとおりです。 過少申告加算税 自主的な修正申告 なし 税務調査に基づく修正申告 10%または15% 重加算税 35% 延滞税 年利14.6%(修正申告書提出日から2ヶ月以内は7.3%) (公定歩合が3.3%未満の場合には例外がある。) |
更正と決定 | |
申告書の提出があった場合で、申告書の所得金額や税額に誤りがあったとき、税務署は調査をして更正をします。更正は税額が増加する場合も減少する場合もあります。 法人税の申告義務者が、申告書を提出しなかったとき、税務署は調査をして決定をすることができます。 一般に更正と決定は混同して用いられますが、このような違いがあります。更正や決定があった場合には、本来の税額のほか、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、延滞税がかかります。 |
更正の請求 | |
申告書を提出した後に、誤りがあって所得金額や税額の計算が多すぎるときには更正の請求ができます。この請求は、原則として申告期限から1年以内に限られます。手続きとしては、法人が税務署に対して更正の請求を行い、これを受けて税務署は調査をして請求が事実であれば更正をすることになります。 更正の請求ができる場合 1、翌期の売上を誤って当期に計上した 2、当期の費用を誤って計上しなかった etc 更正の請求ができない場合 1、減価償却を限度額まで行わなかった 2、引当金の繰入を限度額まで行わなかった 3、所得税額控除や外国税額控除を行わなかった etc |
不服申立て | |
税務署が行った更正や決定などの処分に対して不服申し立てができます。行政が行った処分については国税に限らず、まず、行政機関に不服申し立てをして、その結果についても不服があるときは裁判所に提訴する、ということになっています。いきなり裁判というわけにはまいりません。 不服申し立ては次の2段階があります。 (1)処分をした税務署などに対する異議申し立て (2)(1)の後、国税不服審判所への審査請求 調査の現場では、往々にして行き過ぎることがあります。不服申し立て制度は、これを牽制する効果はあるでしょう。事例を見ると中小企業からの不服申し立ての例が多い。大企業は経理内容がしっかりしているとも判断できるが、新聞報道を見るとそれだけではないように思います。資金力とブレーンがしっかりしている大企業にこそ「不服申し立て」や「裁判」をしていただき、審判例、判決例を積み重ねることによって税務の現場を牽制してほしいと思います。 |
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