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第 39 号
内 容 | ◆ | 「債務超過の状態が相当期間継続」について | |
◆ | 保証債務と貸し倒れ |
■「債務超過の状態が相当期間継続」について |
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法人税法基本通達9-6-1(4)に「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。」とされています。ここでいう「相当期間」とは、どの程度の期間をいうのかという問題があります。 解説書の多くは「相当期間」を3〜5年と解されると書かれています。「相当期間」とは、債務者の経営状態を見て、回収不能という判断をするための見極めの期間という意味があります。一時的に経営が悪化しても、経営改革の結果、債務超過の状態が回復する可能性もあるから、ある程度長期的に経営状態を見守る必要があるでしょう。 しかし、被災があったり、取引先の倒産により不良債権が多額に発生し、それによって債務超過の状態になったような場合には、短期間に経営状態の判断ができることもあります。 法人税法基本通達9-6-1(4)における主要な要件は、「その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合」であり、「債務者の債務超過の状態が相当期間継続」は、その弁済不能の判断期間における債務者の状態を表しているにすぎないのです。(山本守之著「法人税の実務」より) すなわち、「相当期間」とは一律に3年から5年と固定すべきものではなく、回収不能の判断にあたって合理的と認められる期間と解されます。 このように、貸倒れの判断は個別の事例ごとに異なる事情を考慮しなければならず、税務の現場では慎重に対処しなければならない事項です。 |
■保証債務と貸し倒れ |
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債務の保証を引き受ける場合があります。主たる債務者が倒産して債務の弁済が不能になると、保証人が債務者に代わって弁済する義務が生じます。そんな場合にも貸倒損失の問題が発生します。 「保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。(法人税法基本通達9-6-2注書)」として、保証債務を履行することが確実な状況であっても、実際にその履行をした後でなければの損金算入できません。 保証債務を履行した場合の損金算入に関する判断について、興味深い国税不服審判書の裁決例がありますので、次に紹介します。 ○債務保証契約に基づく保証債務の弁済額について損金算入を認容した事例 本件債務保証契約は、各証拠資料によると、原処分庁が主張するように、倒産寸前の状態にあった会社に対する一方的救済のための契約で贈与を目的としたものと解することは困難であり、請求人が提供した担保不動産の強制執行のおそれが生じたので、やむなく債権者との間に債務弁済契約を締結したものと認められ、かつ、求償権の行使はできない状態であるから、当該債務弁済契約により分割返済のために支出した金額は損金算入を認めるのが相当である。(昭47.8.22裁決) 両者の主張を再現すると、次のようになろうかと思います。(推定です) 原処分庁(国税当局)の主張 本件の保証人は、倒産寸前の状態にあった会社(A社とします。)に対する一方的救済の目的で債務保証をしたのであるから、はじめから贈与の意図があった。したがって、その保証債務の弁済額は貸倒損失ではなく、A社に対する寄付金である。 (注) 寄付金の場合には、次の算式で計算した額を超える金額は、損金不算入とされ、全額損金算入される貸倒損失と大きな違いがあります。 損金算入限度額=(資本等の金額×2.5/1000×事業年度の月数/12 +当該事業年度の所得金額×2.5/100)×1/2 請求人(債務保証をした法人)の主張 請求人が提供した担保不動産の強制執行のおそれが生じたので、やむなく債権者との間に債務弁済契約を締結したものであり、A社に対する一方的救済のための契約で贈与を目的としたものという原処分庁の主張は、事実の誤認がある。また、求償権の行使はできない状態であるから、その保証債務の弁済額は貸倒損失として損金算入されるべきである。 上記裁決例のように、倒産寸前で保証債務を履行することが確実な場合であっても、事情によっては貸倒損失が認められることもあるということがわかります。同時に、イエスかノーかと一律に決められない難しさもおわかりいただけると思います。 |