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第 23 号
内容 ◆決算賞与の損金算入が認められるか
◆従業員給料、賞与、退職金の損金不算入
■決算賞与の損金算入が認められるか |
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会社の損金算入時期の原則は、費用又は損失としての債務が確定した事業年度です。では、従業員賞与の損金算入時期はいつか? という問題について考えてみます。 賞与の損金算入時期は、原則として現金主義によりますが、次の場合には未払賞与を認めています。もちろん、損金経理が要件となっています。なお、この取り扱いは使用人賞与の部分だけで、役員分の賞与は含みませんので誤解のないようお願いします。 (1) 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているものに限る。)については、当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。(法人税法施行令134条の2第1項第1号、一部省略) (2) 次に掲げる要件のすべてを満たす賞与については、使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。(法人税法施行令134条の2第1項第2号、一部省略) イ 支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること。 ロ 通知金額を通知をしたすべての使用人に対し、事業年度末日の翌日から一月以内に支払つていること。 (1)をもう少し具体的にいうと、就業規則などに定められた支給予定日が到来したけど、資金繰りの都合で支払ができないというときに、未払賞与の計上を認めています。 また(2)では、決算日に従業員全員に賞与支給金額を通知していること、翌年度初めの1ヶ月以内に賞与を支給していることを条件に未払賞与を認めています。これが「決算賞与」と言われるものです。 会社の業績がいいときは税金を納めるよりも、頑張ってくれた従業員にいくらかでも還元したいと考える経営者は多いものです。しかし、決算日を経過してから「決算賞与」の相談があっても、その年度の損金とすることは無理です。事前に手を打っておくことが大切です。 なお、「支給額の通知」は、口頭でもいいのでしょうが、文書で通知するとともに通知書の会社控えに確認のサインをもらっておくことをおすすめします。やはり、証拠ということを考えたときには、口頭での通知は弱いと思います。 税務署員は何でも疑う、という人が多いですね。実際に文書で決算賞与を通知した上、会社控えに確認印を押してあったときも、「本当に本人が押したのか」と、従業員の何人かに尋ねたことがありました。従業員も数ヶ月のことで忘れて曖昧な返事をした人もいて疑われてしまいました。従業員全員の認印を用意している会社が多数存在する現実を考えれば、税務署の調査官が疑うのも無理はないでしょう。そのような理由から、私は、認印よりサイン(本人の署名)をお薦めしています。 |
■従業員給料、賞与、退職金の損金不算入 |
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従業員に支払う給料、賞与、退職金は次のケースを除いて損金算入されます。一般従業員に支払う給与は正常な取引に基づいて支払われるものであって、恣意的に高すぎる給与を支払うことはあり得ないからです。ところが、社長の家族などが従業員として働いているときなど他の従業員の比較して「不相当に高額」な給与を支払って法人税の負担軽減を図るといった問題に対処するため、税制調査会法人課税小委員会の提言を受けて平成10年度の税制改正により次の規定が設けられた。 (過大な使用人給与の損金不算入) 内国法人がその役員の親族等の特殊の関係のある使用人に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。(法人税法第36条の2) (過大な使用人退職給与の損金不算入) 内国法人がその退職した特殊関係使用人に対して支給する退職給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。(法人税法第36条の3) 平成10年度の税制改正前において損金算入が無条件に認められたわけではない。税務の現場では、従業員である社長の家族に「不相当に高額」な給与を支払っていた場合には、実質的に社長の給与であろうとして課税していたケースがあります。---------------------------------------------------------------------- |