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第  19 号

内容  使用人兼務役員
     使用人兼務役員の使用人としての適正な給与


■使用人兼務役員

 使用人兼務役員とは、役員でありながら使用人としての職務にも従事する者で、取締役営業部長や取締役工場長といった立場の人をいいます。使用人兼務役員に該当するかどうかで賞与を支給した場合の取り扱い(損金算入となるか否か)が異なります。

 ただし、次のいずれかに該当する者は使用人兼務役員となることができません。
1 社長、副社長、代表取締役、専務取締役、常務取締役などの役員
2 合名会社及び合資会社の業務執行社員
3 監査役及び監事
4 同族会社の役員のうち次の要件のすべてを満たしている者
イ、同族会社の持株割合の多い株主グループから、順次3番目までのものの割合が初めて50%以上となった場合のその株主グループに所属していること
  ロ、所属する株主グループの当該会社における持株割合が10%を超えていること
  ハ、その役員と配偶者を合わせた持株割合が5%を超えること

※使用人兼務役員についてより詳しくは
国税庁「タックスアンサー」:http://www.taxanser.nta.go.jp/5205.HTM


■使用人兼務役員の使用人としての適正な給与
 
 使用人兼務役員に該当した場合には、使用人分賞与の損金算入や役員報酬の支給限度額の形式基準などにおいて取り扱いが他の役員と異なります。

 使用人兼務役員の使用人としての適正な給与について次のような通達があります。

 使用人兼務役員に対する使用人分の報酬を令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に定める役員報酬の支給限度額に含めていない法人が、使用人兼務役員に対して使用人分の報酬を支給した場合には、その使用人分の報酬の額のうち当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務とおおむね類似する職務に従事する使用人に対して支給した給料の額(その給料の額が特別の事情により他の使用人に比して著しく多額なものである場合には、その特別の事情がないものと仮定したときにおいて通常支給される額)に相当する金額は、原則として、これを使用人分の報酬として相当な金額とする。この場合において、当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務の内容等からみて比準すべき使用人として適当とする者がいないときは、当該使用人兼務役員が役員となる直前に受けていた給料の額、その後のベースアップ等の状況、使用人のうち最上位にある者に対して支給した給料の額等を参酌して適正に見積った金額によることができる。(法人税法基本通達9-2-7)

 税務の現場では、「使用人のうち最上位にある者」に対して支給した給料、賞与を超えた部分は「役員部分の給料、賞与」だとする画一的な取り扱いをすることが多いのですが、通達を丹念に読めばそれだけではないことがわかります。

 使用人兼務役員と「類似する職務に従事する使用人」がいるときは、"原則として"その使用人に対して支給した給与を「使用人としての適正な給与」だとしているが、たとえば、部長でも営業部長と総務部長とでは社内の格付けが違い、その違いにより給与体系が異っている場合には、これも考慮すべきでしょう。

 上記通達でも、使用人兼務役員と「類似する職務に従事する使用人」がいないときは、「役員となる直前に受けていた給料の額、後のベースアップ等の状況、使用人のうち最上位にある者に対して支給した給料の額等を参酌して適正に見積った金額」としている。

 同等の地位の使用人がいないとき、単純に「使用人のうち最上位にある者に対して支給した給料をもって、使用人としての適正な給与」とするのは、いささか乱暴だということがご理解いただけるでしょうか。

参考になるサイト:
JUSNET Communications Inc
比準使用人として適当な者がいない場合の使用人の最上位の適用例
http://www.jusnet.co.jp/business/yakuin06.html

第一生命「プライムネット」
http://bic.dai-ichi-life.co.jp/fc/pickup_sample/pu02_f.htm