web会計事務所amano法人税実務講座詳細メニュー第 3 号


メールマガジンバックナンバー

第 3 号

内容  ■減価償却とは
     ■減価償却資産
     ■絵画は減価償却資産か


減価償却とは
 
建物や機械、車両、備品などの固定資産は長期間使用でき、使用または時間の経過によって次第に価値が減少します。そこで、購入したとき一時に費用(損金)としないで、使用できると見込まれる期間で徐々に費用とします。数千円で購入できる電卓など、金額のわずかなものまで減価償却の対象とすると損益計算への影響は少なく煩雑になるばかりですから、原則として一品10万円未満のものは取得時に費用とすることが認められます。一品というのは、通常の取引き、使用状況から見た1単位であり、カメラとレンズはセットで一単位となります。
 土地などは固定資産ではありますが、減価償却の対象としていません。なぜならば使用または時間の経過によって価値が減少しないからです。

 法人税法では「内国法人の減価償却資産につきその償却費として各事業年度の損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額のうち、その内国法人が当該資産について選定した償却の方法に基づき政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額とする。」と規定されています。

 会社の決算書上、償却費として計上した金額が税法上の限度額以下であれば会社の計上額を損金とし、逆に会社の計上額が税法上の限度額を超えていれば税法の限度額を損金とすることになります。


減価償却資産
 
 減価償却資産を法人税法では、「建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。」(法人税法第2条第24号)と定め、政令の定めは次の通りです。

 法人税法第2条第24号(減価償却資産の意義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。
建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品etc

 実務上、次の区分は間違いやすいものです、

機械置械と器具備品
 機械装置は工場などで使われる生産設備をいい、事務機器や医療機器はいかに高額でも区分上は機械装置としないで器具備品とします。

車両運搬具と機械装置
 クレーン車やパワーショベルなどの建設機械で、道路交通法上は自動車として道路を通行可能なものでも、現場で作業することが主目的で、人や荷物を運搬する目的ではないものは機械装置となります。

建物と構築物
 建物とは、土地に定着して建設された工作物で壁、屋根を有し、住居、工場、貯蔵等の用途に供される物をいいます。カーポートの例では、屋根だけあって壁がない物は構築物、壁で囲まれた物は建物という区分になります。


■絵画は減価償却資産か
 
 使用または時間の経過によって次第に価値が減少するものです。「書画、骨董」は減価償却資産に該当するかということも実務上問題になります。絵画などは時の経過により価値が減少するものではなく、むしろ、価値が増加することが多いでしょう。その意味から、これらは減価償却資産に該当しないということになります。

 しかし、美術品ならすべて書画骨董としての価値があるわけではありません。税務上は、次に該当するものが非減価償却資産とされています。
1、古美術品、古文書、出土品、遺物等の歴史的価値、代替性のないもの
2、美術年鑑等に登載されている作者の制作する書画等
(注)書画骨董に該当するかどうかが明らかではない美術品等で、その取得価額が1点20万円(絵画については、号2万円)未満のものについては減価償却資産として取り扱いことができるものとする(法人税基本通達7-1-1)
 逆説的には、複製品や無名作家の制作した絵画などは減価償却資産に該当することになります。

 注意すべきは、1号、2号という小品の絵画で号当たり2万円以上の絵画の場合は、たとえ10万円未満であっても一時の損金にできないことです。もともと、10万円基準は減価償却資産について適用されるもので、非減価償却資産には適用されないからです。