web会計事務所amanoトップ>なぜ今、特別徴収か
なぜ今、特別徴収か 今、総務省が号令をかけて、全国の自治体が住民税の特別徴収に取り組んでいます。 会社は、従業員の給料から住民税を天引きして納税者(従業員)本人に代わって自治体に納付するのが特別徴収というものです。これに対して、納税者本人が直接納付することを普通徴収といいます。 特別徴収は給料の支払者に義務付けられている制度ですが、小規模の企業については、会社の任意に近い状態で長年取り扱ってきました。それが、なぜ今急に従業員2人、3人という企業にまで特別徴収を推進するのでしょうか。今回は、そこを考えてみます。 地方税法第321条の3において、「ただし、当該市町村内に給与所得者が少ないことその他特別の事情により特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、特別徴収の方法によらないことができる。」明記されており、この規定に基づいて、小規模の企業については特別徴収としないことを認めていたものと思われます。この法律は現在でも廃止されていないにもかかわらず、ごく小規模の企業にも特別徴収を推進する理由はどこにあるのでしょうか。 最初に、特別徴収制度のメリットとデメリットを挙げてみましょう。
私の地元、静岡県の特別徴収の推進パンフレットでは特別徴収が義務であることを強調し、地方税法第321条の3のただし書きの「・・・特別徴収の方法によらないことができる。」について何の説明もありません。特別徴収推進のパンフレットには自治体にとって都合のいいことだけを記載し、都合の悪いことはあえて伏せているように思います。これは、他の全国の自治体も同様です。 また、浜松市の、特別徴収義務者への説明資料には、「浜松市では、入札参加資格や指定管理者、一部の補助金等の申請要件に特別徴収の実施を義務づけ、浜松市が税金を使って行う事業等を利用される方が、法律に定められた義務を遵守していただいていることを確認しております。・・・」と、いうなれば、「浜松市で行う入札に参加したかったら特別徴収にしなさい。」と恫喝とも思われる表現をしております。 民間の保険会社であれば、会社が集金を代行すれば手数料が支払われます。役所は給与を支払う会社に住民税の集金を代行させて手数料を支払わないばかりか、納付期日に遅れるとペナルティを課すという、およそ民間企業同士のお付き合いでは考えられない常識に反したものです。法律や条例を制定すれば、常識とかけ離れたことも通用してしまうのでしょうか。 そんな、個人情報の軽視をはじめとする大きな問題を抱えている制度を、総務省が音頭をとって、都合の悪いことは伏せてまで全国の自治体が一斉に推し進める現状を恐ろしく感じるのは私だけでしょうか。 (注)最近は、申告内容については個人別に封入した上で会社に送ってきます。一歩前進ですね。当然のことながら税額は会社に知らせますので、見る人が見れば会社からの給料以外の所得がどの程度あるのかはわかります。 |