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事業所税がもたらす地方都市の空洞化 事業所税を御存知でしょうか? なじみが薄く、意外とご存知の方が少ない税です。 事業所税は、都市環境の整備事業に要する費用を確保するため1975年に導入された目的税で、人口30万人以上の都市に所在する事業所に課税される地方税(市町村税)です。 事業所税の税額は資産割(建物1平米当たり600円)と従業者割(給与総額の0.25%)の合計額です。これには以下の免税点が設けられており、免税点以下の規模の事業所には事業所税の課税がありません。 免税点・・・・・資産割 1,000平米 従業者割 100人 従業者300人(年間給与は1人平均500万円)、5,000平米の工場を例にとると以下の税額です。 資産割 5,000平米×600円 =3,000,000円 従業者割 300人×5,000,000円×0.25% =3,750,000円 1年間の納税額 資産割+従業者割 =6,750,000円 これが、人口30万人未満の市町村に所在する事業所には無縁の税です。 事業所税の特長とその効果を箇条書きにします。(一部、上記と重複します。)
事業所税とは不思議な税金ですね。地方税でありながら、地方の裁量権を実質上奪うものであり、しかも地方の増収は4割に過ぎず、それも「都市環境の整備事業に要する費用の確保」という使途を限定した財源です。国の財政負担を軽減する効果は大きいが、地方のメリットが少ない(デメリットが大きい)税であることがわかります。地方分権とはかけ離れた、地方税とは名ばかりの地方都市を苦しめる税であるといえます。 市町村合併により人口が30万人以上となる都市にとって、事業所税は深刻な問題です。「企業進出の障害や、企業の撤退・縮小・廃業にもつながり、その結果雇用が減少する。財政シミュレーションでの事業所税による増収どころではなくなるのではないか。」と真剣に議論している様子が下記のレポートでも伺えます。 福島市・川俣町・飯野町合併協議会住民懇談会 実施報告書 上記報告書が開けないときはこちら また、「地域の中核都市への産業集積は望ましいものであり、抑制されるべきではない」との観点から、政策研究大学院大学の中瀬雅夫先生の論文が公開されています。 地方中核都市への産業集積に対する事業所税の影響に関する経済分析 上記論文が開けないときはこちら |